組込みシステム開発技術展でAndroid関連の展示を見てきました

5月14日(金)のESECの最終日に、Android関連の展示を中心に見てきました。

全体的には、Androidを中心に展示する企業などもあり、組み込みの世界にもAndroidが浸透してきたことが実感できました。数年前には数社しか取り扱っていなかったころと比べると、大きな進歩だと感じました。反面、ただAndroidを扱っただけでは展示としてのインパクトはなくなってしまったため、他の展示の中に埋もれてしまっているAndroid関連の展示も幾つかあったようです。

気になった点としては、多くの展示がいまだに1.5や1.6といった少し前のバージョンにとどまっている点です。やはり、日本の組み込み業界は、ウェブ関連の業界などに比べて、スピード感に難があると感じています。

もうひとつ、問題だと感じたのは、Androidを、他のリアルタイムOSや、組み込みLinuxといったオペレーティングシステムと同列に扱っている展示があった点です。個人的には、オペレーティングシステムとしてのAndroidという観点ではなく、クラウドサービスとの連携といった側面にフォーカスするべきではないかと感じました。

昨年と比べて、新しい流れとして出てきた点としては、Android関連の教育という側面です。Androidは、下層は従来の組み込みOSという側面を持ちながら、上層部ではアプリケーションやWebサービスとの連携といった側面を持つフレームワークとなっています。このような特性を生かして、幾つかの企業がAndroidを用いた教育事業を展開してきています。このような取り組みが活発に動き始めれば、組み込み分野でのAndroidの活躍の大きな起爆剤となるのではないかと期待しています。

以下、僕がみたAndroid関連の展示の概要です。

株式会社ナノコネクト

http://www.nanoconnect.co.jp/
Android技術者教育訓練 Androidエデュケーション」を展開している企業です。展示会場の中でも、実際に動作するAndroidの2足歩行ロボットが目を引いていました。
内容的も、Javaを学ぶ基礎コース、Androidアプリの作成方法を学ぶドロコンアプリ開発コース、そして、Linuxカーネル層まで踏み込んだミドルウェア開発コースと、全体を網羅したコースが用意されているようです。
さらに、単純なセミナーだけではなく、ビデオ学習と講師サーポートを組み合わせた講義方法や、サーバーシステムでのレンタルという提供方法や、教育ビジネス立ち上げのサポートなど、ビジネス面でも多くの取り組みを行っているようです。
今後の展開がとても楽しみな企業だと感じました。

デジタルメディアプロフェッショナル

http://www.dmprof.com/
Androidを用いて、OpenGL/ESの3Dグラフィックスを学ぶラーニングキットを展示していました。
PC上で閲覧するビデオ形式の教材で、一年間有効で5000円ぐらいなので、個人でも手を出せるかなぁと感じました。
やはり、OpenGLは敷居が高いので、このような教材はともて有用なのではないかと感じました。

(株)豆蔵、TDIプロダクトソリューション(株)、(株)図研、日本システム開発(株)の共同出展

http://esec2010.mamezou.com/
Android関連で実績をもつ4社が、コンサルティング、設計サポート、教育などの様々な側面から一体となってサポートを行うという展示でした。
このブースを通りかかったときに、同じ日本Androidの会の江川さんがプレゼンテーションをしており、興味深くお話を聞かせていただきました。


教育関係以外で見てきたAndroid関連の展示です。

ノバテック株式会社

http://www.novatec.co.jp
Javaアプリを動作させるダルビック側と、Linix側をトータルにデバッグできる開発ツールである「Arriba for Android」を展示していました。
組み込み向けの開発を行う場合には、このようなツールが必須になるのではないかと感じました。

アヴァシス株式会社

http://avasys.jp/
Androidバイス向け印刷ソリューションということで、Androidバイス内の画像をBluetooth経由で直接プリンターに印刷することができるアプリケーションの展示を行っていました。
先日、Googleクラウドを利用する印刷サービス「Google Cloud Print」の構想を発表するなど、モバイル環境でのプリンティングは大きな注目を集めています。
今後、このようなアプリケーションや、印刷用のフレームワークなどが重要な要素となってくるような気がしました。

株式会社エイチアイ

http://www.hicorp.co.jp/
Androidを全面に出した展示を行っていました。看板にはAndroidの大きな文字が表示され、Androidにかなり力を入れているように感じました。
内容は、お得意の3D表示をスキルを生かして高速描画のライブラリや、ユーザーインタフェースのデモなどが展示されていました。

ディジ インターナショナル株式会社

http://www.digi-intl.co.jp/
Android Application Kitということで、Androidを組み込んだデジタルサイネージ用のボードを展示していました。
お話を聞いたところ、開発者の皆さまに、より安価に評価ボードを提供したいというモチベーションでできた製品のようでした。

また、ESECと同時開催されていたWeb&モバイルマーケティングEXPO内のスマートフォンモバイルアプリフェアでも、幾つかのAndroidの展示がありました。

株式会社ANALOG TWELVE

http://www.analog12.co.jp/

マッシュアップアワードで受賞したAndroidアプリ「待ちぴったん」の展示がとても目だっていました。
周りの展示が、まだまだ、従来のケータイ電話を中心に展開しているなかで、Andoidを展示することで、少し先をいっている印象を受けました。

株式会社モリサワ

http://www.morisawa.co.jp/
噂のAndroid電子ブック端末、Alex eReadを展示するなど、モバイル環境にも積極的にフォントを展開してく姿勢が感じられました。
特にAlexは、展示直前に入手したにも関わらず、Android上で表示しているフォントが、ePaper側に表示されるデモがキチンと動作していました。
やはり、今後の電子ペーパーでは、フォント自身の品質が非常に問われることになると感じられました。


この他にも、幾つかのところでAndroid関連の展示があり、今後ますます、組み込み分野でのAndroidの重要性が高まってくる予感がしました。