永遠のジャーニーマン

Apprenticeship Patterns: Guidance for the Aspiring Software Craftsman

Apprenticeship Patterns: Guidance for the Aspiring Software Craftsman

 現在、Apprenticeship Patternsという本を読んでます。この本は、「ソフトウェア職人気質」とい本に関連して、アプレンティス(その分野の入門者:徒弟)という視点について書かれた本です。
 「ソフトウェア職人気質」では、ソフトウェア開発を、中世の鍛冶職人のような徒弟制度にあてはめて、開発者をいくつかの階級に分けています。一つは、入門者であるアプレンティス(徒弟)、徒弟を指導しながら学ぶジャーニーマン、そして、匠と呼ばれる熟練職人です。
 熟練職人は、ギルド(中世において商工業者の間で結成された各種の職業別組合)から仕事を引き受けて、自分の作品を作り上げます。自分の工房では、数人の職人を管理しています。その中で、アプレンティスを指導しながら仕事をし、そして、複数の都市の匠の工房を旅しながら技術を学んでいくのがジャーニーマンです。中世の世界では、このジャーニーマンが、新たな技法を伝える唯一の手段だったのです。
 僕自身は、この三つのポジションの中で、一番魅力を感じるのは、匠ではなく、ジャーニーマンです。それは、職人生活の中で一番楽しい時期は、このジャーニーマンだと感じるからです。ある意味、永遠のジャーニーマンというのは、理想的な開発者像なのかもしれません。
 この本自身は、現在のソフトウェア開発者が、中間管理職への昇進でキャリアを終了させるのではなく、一生ソフトウェア開発のキャリアを続けられるようにすることを目的としています。その意味では、今のソフトウェア開発の世界に欠けているのは、このジャーニーマンというポジションなのかもしれませんね。